ホワイトに下された「雪作戦」。日米和平を潰せ!
明らかに日本を挑発するもの!日本人のためのインテリジェンス・ヒストリー②
しかし、モスクワは一九四一年四月、パブロフをワシントンに送り込みます。ホワイトに会って、「雪」作戦の指令を与えるためでした。
パブロフの書籍に基づいてジョン・コスターの『雪作戦(Operation Snow)』(Regnery Publishing 2012, pp.2-3)が解説するところによると、パブロフはワシントンDCの電話ボックスからホワイトに電話をかけ、「ホワイトの古い友人であるビルの友人だ」と名乗って面会の約束を取りつけました。
ビルというのはNKVDの諜報員イスハク・アブドゥロヴィチ・アフメロフの偽名で、アフメロフはこの二年前にホワイトと会ったことがありました。
「私は金髪で、目印に雑誌『ニューヨーカー』をテーブルに置いておきます」と言ってホワイトをレストランに呼び出したパブロフは、アメリカ政府内で推進するべき対日外交政策の概略を書いた紙をホワイトに示しました。
『ヴェノナの秘密』によれば、その紙には、「日本が中国と満洲への侵略を中止して軍を撤退させること」、また、「日本が軍備の大部分をアメリカに売ること」という強い要求が書かれていました。
これらの要求の内容自体が日本にとって強硬なものですが、使われている表現も極めてきつい言葉遣いで、明らかに日本を挑発するものだったといいます。
ホワイトはその紙をポケットに入れて持ち帰ろうとしましたが、パブロフはそれを許さず、ホワイトに紙に書かれた内容を暗記させました。
(『日本は誰と戦ったのか』より構成)
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